和釘とは
神社仏閣・城郭などの古建築物の修理復元に無くてはならない物が和釘です。
一般に広く使われている丸い軸を持つ釘は「洋釘」と言い、明治時代にヨーロッパからもたらされたものです。
これにたいして「和釘」は、制作された時代によって頭の部分などに違いがありますが、太く角張った軸で表面積が大きいことが最大の特徴です。
飛鳥時代から日本の建築に欠かせない釘として使われてきました。
更に和釘は金槌で一本一本叩いて作ることで、微妙な太さの違いを表すことができます。
例えば、茶室の床柱の太さや空間にあわせ、釘のラインも同じ調子でこしらえるなど、日本建築の空間へのこだわりは、釘ひとつに対しても、職人の微妙な感覚とやり取りで表現されています。
工程ごとの仕上がり状態
階折釘
①材料の鉄の角材
②頭部の制作(頭を折り曲げた状態)
③先端の制作(先端を尖らせた状態)
巻頭釘
①材料の鉄の角材
②頭部の制作1(頭を潰した状態)
③頭部の制作2(頭を丸めた状態)
④先端の制作(先端を尖らせた状態)
階折釘の作り方
1.頭部の制作①
鉄の角材をつかみばしではさみ、火床(ほど)に投入して熱します。
2.頭部の制作②
適度な温度になったら、火床から取り出し、材料を金床の上に置き、材料の太さの倍くらいの所を鎚で叩いて折り曲げます。
3.頭部の制作③
曲げた頭部は、金床(かなとこ)の上で、鎚で叩き形を整えます。
4.先端の整形①
折り曲げた頭部をつかみばしではさみ、鉄の角材の先端となる部分を火床で加熱し、適度な温度で取り出します。
5.頭部の制作②
材料の長さの約2/3のところから、鎚で叩き、だんだん細くなるように、先端を尖らせます。※鎚は真っ直ぐ打ち下ろさないとゆがみます。
巻頭釘の作り方
(工程1・4・5は階折釘と同じ作業です)
1.頭部の制作①
鉄の角材をつかみばしではさみ、火床(ほど)に投入して熱します。
2.頭部の制作②
適度な温度になったら、火床から取り出し、材料の太さの倍程度を金床の角に当てて叩き、半円形になるように薄くつぶします。
3.頭部の制作③
火床で再度加熱し、赤くなったら薄く潰した部分を鎚で叩いて丸めます。
4.先端の整形①
折り曲げた頭部をつかみばしではさみ、鉄の角材の先端となる部分を火床で加熱し、適度な温度で取り出します。
5.頭部の制作②
材料の長さの約2/3のところから、鎚で叩き、だんだん細くなるように、先端を尖らせます。※鎚は真っ直ぐ打ち下ろさないとゆがみます。